「巡り会えたら」
会いたい。
残してきてしまった子ども達に、会いたい。
ただの1分でも、1秒でも、ほんの刹那でもいい。
なんだっていい。ただただ、会いたい。
生命体と機械という、血の繋がりすらない者同士だった。
それでも、双子の片方は2年、もう片方は700兆年もの間、私のことを科学者ではなく、「父親」として慕ってくれた。
生きていた頃、それはそれは苦しかった。
生き物の世に未練もあるが、それ以上に亡き者たちへの後悔が大きい。生きている間も今も、たくさんの贖罪を己に課してきた。
そんな中、あの子達は純粋に、私のことを幸せにしてくれた。
あの頃は全てを忘れてしまいそうになる程に、幸せだった。
だからせめて、感謝を伝えたい。名前を呼びたい。
あの時のように、もう一度、名前を呼びたい。
どうかどうか、また巡り会えたなら。
どれだけ幸せだろうか。
10/4/2024, 3:10:04 AM