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 「読んだ本、観た映画を語り合える友人がいると人生がより楽しくなる」
 とある作家が語っていた。
 同じ本を読み、同じ映画を読み語り合う。時には意見が食い違う時もあるだろうが、大半は同じ意見.感想を持つ友人。たしかに、そんな友人がいたら楽しい人生になるだろう。
 わたしには、そんな友人がいた。
 知りあってすぐに彼女はこんなことを話した。
「わたし、毎年、1年間読んだ本の中で1番良かった本に◯◯年度大賞をあげているんです。個人的に。今年は◯◯さんの◯◯でした」
と。
 その作家はあまり有名な作家ではなく、私以外でその作家を読んでいたのは、私の周りでは彼女だけだった。
 読む本、観る映画の趣味が合い、彼女との会話は時間が経つのを忘れて話した。すばらしい時間を過ごせた。
 しだいに本、映画以外の話も増えてきた。家族の話し、部活の話し、子供の頃の話しなどなど。
 離れていてもお互いの感情が分かるようにもなり、不思議なことが度々おこった。
 ある日、部活の練習試合で大きなミスをし、試合に負けてしまったことがあった。レギュラーを決める大事な試合だったので、わたしはとても落ち込んだ。そんな時、彼女からメールが届いた。
「自身を失ってませんか。大丈夫です。自分を信じて」
彼女には何も話していないかったにもかかわらず。
 このようなことが何度もあった。時には私が彼女の感情を感じることもあった。嬉しときよりも、哀しく辛い時が多かったと思う
 彼女は心から私を励まし応援してくれた。それは同情ではなく、共感だった。共に感じ、共に泣いてくれた。
 いいかを関係が続いていたのだが、ちょっとしたことから連絡を取らなくなった。惹きつけ合う力が強ければ強いほど、反発する力も強い。あれから数年たった。彼女は今どんな本を読み、どんな映画を観ているのか。

リッキージョーンズ カンパニー を聴きながら

2/21/2024, 1:24:18 AM