「青い風に吹かれて 」
青い風に吹かれて どこまでも
空と大地のあいだで 私は揺れていた
歩いているのか 漂っているのか
その境界すら もう忘れたまま
足元の石は 過去の記憶
すれ違う人は 未完の物語
誰かの笑顔をポケットに忍ばせ
知らぬ地平を そっと踏み出す
旅には地図がない
あるのは 選ばなかった道への名残と
選んだ道の先にある 風の音
涙がこぼれた日も
嬉しさに言葉を失った夜も
すべて風が運んでくれた
忘れぬようにと 胸の奥に残して
ときに風は冷たく
背を押すどころか 立ち止まらせた
それでも私は歩いた
それでも それだから 歩いた
この道の終わりを知らなくていい
たどり着かなくても構わない
大切なのは 風が吹いていること
私がそれを感じられること
青い風よ、
今日も私を連れていって
心の奥にしまった願いの場所へ
まだ名もない 明日という名の岸辺へ
どこまでも、どこまでも
風に吹かれながら――私は旅をしている
7/4/2025, 1:59:56 PM