…本質を見てしまう人の誠実な苦しみっていうのはさ、
矛盾を矛盾のまま放っておけなくて、
落とし所で「わかったこと」にすることができなくて、
だからこそ、言葉の奥や、人の裏や、心の深部まで見てしまう事。
考えれば答えが出るだなんて
思っちゃってたんだよ、自分はさ。
けれど、本当は違くて…、
この世界は底なしで、答えなんて最初からない。
多くの人は、それっぽい納得を自分の中に作って、
それを成熟だとか、受け流す力だとか呼んで、
そういうものが大人なんだって信じてる。
けれど、矛盾のど真ん中に立つことは、
本当は未熟でも何でもない。
大人と呼ばれている者の多くは、
ただ慣れているだけだったりする。
その中のほんの一部だけが、
本当の意味で成熟しているんだろうけれど…。
陸の生き物の中で最も身体の大きな象でさえ、
ゆっくりと瞬きをする。
世界に答えを与えようとして
躍起になっているのは、
たぶん人間だけなんだ。
象の瞳の安らぎは
答えを持っているからではなく、
答えを必要としていない静けさなんだよ、きっと。
題 安らかな瞳
3/14/2026, 5:08:47 PM