ノーム

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※不快に感じる表現がございます、予めご了承ください。

『愛を叫ぶ。』


「……○○さん、気を確かにね。
しっかりと休むのよ」

「……えぇ、ありがとうございます。
また明日よろしくお願いします」

──ガラガラ ガチャッ

通夜が終わり、最後の客人であった義母が帰って行った。保険屋も、葬儀屋も、親戚も、親も……みんな帰って行った。
がらんどうとした仏間に残ったのは、俺とお前の二人だけ。

棺で眠るお前の顔を覗き込む。
とても死んでいるとは思えない程、安らかな顔をして眠っていた。

「お前がこれを聞いたら『ありがちな言葉だね』……なんて言って、俺の事を笑いそうだな」

明日になれば内々だけで葬儀が行われ、恐らくそのまま火葬場まで運ばれるのだろう。

……そうして俺だけが残される。
俺だけがここに取り残される……っ!
俺だけ……が…………ッ!!

棺にしがみつく

「う゛ぅ……うぁぁぁぁあ゛あ゛!!」

獣のような野太い声が響く

「あ゛あぁぁ……ッ!!
なんでっ!?」

愛していたのだ

「どうじてっ……!?」

お前を愛していたのだ

「なんで置いていぐんだよぉッッ!!」

今更どれだけ叫んだところで

「──ッッ!────ッッ!!」

もうお前には届かないというのに

5/11/2023, 12:14:39 PM