夢
もう割り切ったと思ってたわ。
けれども、夢で現れた王子様は、幻みたいに消えちゃいそうだった。夢だものしかないよね。
夢の中の私は必死で貴方が消えてしまわないように、ずっとここにいられるように、頑張ってた。
だけど、結局最後にプールみたいなところに落ちたの。
足がつくほどの深さだと思っていたのに、落ちると深くて、奇妙な魚が私を襲ってきた。
溺れそうになりながら、もがいた。
やっと上に上がれそうなところで、王子様が手を差し伸べてくれた。
嬉しかった。
とっくに消えてしまったかと思っていた。
引き上げてもらったのと同時に夢から覚めてしまった。
どうして貴方はまた、私の夢に出てくるの?
落とし穴
落ちたらだめ。
嫉妬や欲望の穴に落ちたら、あとは少しずつ心臓が傷んで、蝕まれる感情に壊れるだけ。
そのうち、自分の心がどこにあるのか分からなくなってどうでも良くなってしまう。
日が沈むごとに気分も沈みこんで、朝日が昇るのが目に映る。
ゆらゆら日々生きるだけで、ブランコに乗ったように酔う。
深い穴に落ちたなら、誰か一人のちからでは引き上げられない。たくさんの人に助けてと言わなければならない。
落ちたところが深すぎたら気づいてもらうのだって難しい。
落ちた先に針がびっしり敷かれて、落ちたと同時に串刺しになるかも。
落ちた先に大きな怪獣が住んで襲ってくるかも。
落ちた先にたくさんの宝が眠っているかも。
でもきっと、穴の外に出られても、無くした心を探すばかりに周りが見えなくなって、ふとしたときまた新たな穴に落ちるのかも。
8/24/2024, 12:07:49 PM