『物語の始まり』
私なんかが...今までそんな人生だった。
誰かが私より主役になってて、私はいつも脇役。
諦め半分、私もあんなふうになれたらなと何度も思った。
そう、ずっと願っているばかりだった。
何気ない日々が続く中、私の目の前で泣いている子供がいた。
転んで怪我をしたのか、
膝は赤くなり見渡す限り親はいないようだ。
助けてあげたい...けど...
スマホの時間を確認する。
目的地まで15分。この子を助けると
面接は間に合わないだろう。
...遠くで肩を落とし子供に歩み寄る。
「大丈夫...?」
「おねーさんありがとう!じゃーねー!」
その後無事に子供は笑顔でどこかへと去っていき、
人混みの中消えていった。
事が解決した時には既に予定の30分オーバーだった。
電話で遅れたことの謝罪と
今から向かうことを電話したところ、
「面接は結構です。お疲れ様でした。」と
一方的に切られてしまった。
私なんかの人生の一部が失敗に終わるより
あの子が笑顔になって良かった。
少しでも主役にしてくれた子供の笑顔を思い出す。
また...また、次頑張ればいいじゃん。
私の中の私は珍しく背中を押してくれた。
そんな何かが変わったお昼時だった。
語り部シルヴァ
4/18/2025, 10:42:10 AM