猫田こぎん

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#宝物

 経験とか、記憶とか。宝物というと、そんな形のないものを思い浮かべる。
 今の私が一番大切にしたいと思っているものは、この平和な日常。
 いつ崩れるかわからないと常々思う。だって、何があるかわからないもの。
 地震や火事、天災、もしかしたら事故や病気。
 一瞬の不注意で全て失することだって容易にあり得るわけで。
 そうなると、「今が人生史上一番若い」のと同じく、「今が人生史上一番幸せ」と思っているから、この日々が一番の宝物ということになる。
 仕事を辞めて、真っ先に感じたのは、「嫌いな人に会わないってことがこんなにも幸せなものか」だった。
 職場に嫌いな人がいて、その人のせいでうつ病にもなった。
 いや、嫌い抜いているのならばいっそ良かったのかもしれない。なまじ「いいところもあるしな」なんて思っていたのがよくない。
 盲目的に他者を「良いもの」と思っていた頃は想像もしなかったけれど、他人なんて、心底嫌ってもいい。それが今ならわかる。
 私はどうしても自己に「ダメなところ」を探しがち。
 自分が悪いからあの人は私に対して不機嫌な態度を取るんだ、とか。
 自分が悪いからあの人は意地悪するんだ、とか。
 違うの。「あの人」がクソなだけ。本当にそれだけのことで、自分を責める必要はない。大抵の場合、原因は「あの人自身」にあって、こちらはとばっちりを受けているだけなのだ。
 仕事って、好むと好まざるとに関わりなく、人間関係を築かなくてはいけないじゃん。
 嫌いな人と一緒に働くことも多いし、好きな人とばかり仕事ができるわけでもない。
 だからさ、どう考えても毎日必ず嫌いな人と会うって生活は、やっぱり無理だよ。あはは。
 そういえば、前述の「あの人」に会わなくなって(仕事を辞めて)、新しく腰掛けパートを始めた時。
 前任者が、これまたハイパー性格合わないマンだったの。
 まさに「最も合わないタイプ」ってこういう人なのか!と開眼した。
 それまでの「二度と会いたくない人」なんてかわいいもんじゃん、って痛感するほどの、合わない人。
 前任者ということで職場に留まるわけではない(一緒に働くわけではない)けれど、引き継ぎされてるだけで無理で、しかも現場と院長で見えているものが違うというパターンの職場だったり、面接で言われた業務とは全く異なることを最低賃金でやらされそうだったんで、すぐに辞めた。
 うつ病が再燃してメタメタになってしまい、最終的には旦那さんに辞めることを伝えにいってもらうという体たらく。まあ、そもそもうつ病から寛解する前に働こうとしたのが間違いだったわけだけれど。
 そういう日々があって、今の引きこもり生活がかけがえのないものだと感じる。
 専業主婦って適正があるから、難しい人には難しいんだろうなと思うよ。やったことない人からは想像もできないことが日々山積するしね。きっとそんなにいいものじゃない(あくまでも向き不向きの話。向いている人には天国)。
 
 手垢のついた結末だけれども、家族が元気でいてくれることが、一番の幸せで、この生活が宝物だと思う。


2023・11・21
 
 

11/21/2023, 12:28:39 AM