物心がつくというか、気づいたら人間として存在していました。不思議ですよね。小さい頃を思い出そう思い出そうとしても何か靄がかかっている。
太宰治や三島由紀夫は生まれた時のことを覚えていると書いていたし、夢野久作は生まれる前のことを小説にした。私にはそれほどの記憶力はない……。
でも、私の場合は物心ついた時から守護霊様がいました。
守護霊様はいろいろ助言してくれたり、ちょっとヒントをくれたりと大変ありがたい存在でした。誰にでも守護霊様がいるとは限らないようで、これは秘密にしなければならないと感じていました。
ところが、ある日うっかり家族にその話をしてしまったのです。
それは危険だ、ということになり、善は急げと除霊を行うことになってしまいました。わたしにとっては大切な存在だといくら言っても両親は聞き入れてくれません。それがこんなことになるとは……。
郊外の神社に連れて行かれ、四人の神主さんが私を取り囲み、儀式が始まりました。そして、何やら難しい言葉をリズミカルに操り発し始め、私を囲みぐるぐる回り出しました。
するとどうでしょう、私が肉体から離れていくのです。
あっ、あっ、あっ……、俺じゃない俺じゃない。
守護霊様はどこか不思議そうにしています。
これからも、ずっと二人コンビで生きていくはずだったのです。それが、あろうことか私の方が肉体から追い出されてしまったのです。
な、なんで?
たっ、たっ、助けてぇ。これは声になりません。
今や肉体に収まっている守護霊様に一生懸命伝えます。
自分の身体を見下ろすと、守護霊様は私の顔でニヤリとしました。
これからも、ずっと……。
4/8/2026, 10:53:31 PM