3/25 【ところにより雨】
ぽつり、ぽつり。
晴れ渡っている澄んだ青空から
いくつもの雫が落ちてくる。
その雫が少ししょっぱいような気がして
私はじっとしてられなくなって走り出した。
また、あの子がないている。
泣けないあの子の代わりに
空が雫をこぼしているのだ。
どうしてあんなにいじっぱりなのか。
いじっぱりで頑固でもう本当にどうしようもない。
そんなどうしようもない子のために
駆け出してしまう私も私でどうしようもない。
冷たくて頑固なあの子の柔らかいところ
ふぅわり、と柔らかく、優しく、包み込めば
いつもは素直じゃないあの子も少しはほぐれてくる。
「…まったく。今日はどうしたの?」
私の顔を見てあの子の目から
雨の雫が零れ落ちた。
晴れ、時々曇り。
あの子の涙でところにより雨。
3/26/2024, 4:48:07 AM