初心者太郎

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高校三年生の秋のこと。僕たちは文化祭に向けて、クラス一丸となって着々と準備を進めていた。クラスの出し物は、お化け屋敷。

みんなで担当ごとに分かれて、ホームルームの前や、放課後に作業を行う。僕の担当は、装飾。驚かせる役もやるけれど、準備の時は特にやることはない。

完成が近づくにつれて、誰もが文化祭を楽しみに待った。僕もそうだ。

ただ、一つ不安があった。

もちろん、お化け屋敷について不安はない。この学校の文化祭には、三年生だけ、もう一つ大きなプログラムがある。
それは最終日の夜に行われる、フォークダンス。

学校内で流れている噂だが、そのペアになった人とは一生添い遂げられるらしい。

僕の不安は、幼馴染のあの子が一緒に踊ってくれるのかどうか。それだけだった。


そして文化祭前日の帰り道、僕は勇気を出して言った。

「明日のフォークダンス、僕と一緒に踊ってほしい」

彼女は僕の手を取ってくれた。

———

夢を見た。高校時代の懐かしい思い出。

妻が久しぶりにあの時の話なんてするから、告白のシーンだけではなく、その先の一緒に踊ったシーンまで夢に出てきた。今でもちょっと恥ずかしい。

でも僕は、声を大にしてみんなに伝えたい。

色々なことに挑戦してみるべきだ。結果はどうであれ、後から見ればきっとそれはいい思い出になる、と。

お題:僕と一緒に

9/23/2025, 3:08:33 PM