まぐ

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夢を見た。
必死に走る私がいる。後ろからは何かおぞましいものが迫ってくる。逃げなければ──そう思った。
いつまでもいつまでも走り続けた。でも逃げ込めるような場所が現れることはなかったし、化け物も消えたりしなかった。
走って逃げて、何になるのだろう。私はふと疑問に思った。夢から覚めれば何もかも終わりになるのかもしれない。でもその終わりはいつ訪れるのだろう。こんなに苦しいのなら、いっそ──あの化け物に捕まってしまいたい。
血の味がする喉に限界を感じ、私は立ち止まった。背後からあの化け物が私を包み込む。それは思っていたよりずっと暖かく、優しかった。なんだ、逃げる必要なんてなかったではないか。だって、私は──望んでいた。

病室には、痩せこけた少女が一人。心電図の機械的な音が止まる──

5/31/2023, 2:29:25 AM