鳥のように
「もし鳥になれるならなにになりたい?」
「あ、鳥限定なのね……」
私の双子の弟は生き物をこよなく愛している。だから、突然こんな質問をされても「まあこいつだしな」ですんなり受け取ってしまうのだ。
「んー……」
空を飛んでみたいと思ったことはある。これ、結構経験された方も多いんじゃないだろうか? せっかくなら鳥みたいにね、バサバサッと翼をはためかせて飛べたらどんなに気持ちいいかなーって思うことはあるけれど。
「鳥を選べとはいままで言われたことなかったなぁ」
私だって動物は好きだよ。弟ほどじゃないけど。ちなみに、犬か猫かだったら犬だ。猫もかわいいし好きだけど、犬はなんかもう心臓がキュンどころかギュンッてなる。要は大好き。
迷いに迷う私とは反対に、後輩はもうすでに決まったらしい。
「オレ、フクロウがいい」
「ヘドウィグ?」
「シロフクロウかわいいよな。メンフクロウも好きだけど」
あ、これ私たちがセーブしないと弟が延々と語るパターンか? たしかにどっちもかわいいけどさ。
「ちなみに、なんでいろんな鳥のなかでフクロウ選んだの?」
「単純に好きなだけ」
「そうなんだ。まあ、君、フクロウに似てるもんね」
「……褒めてる?」
「なかなか人に懐かない感じは解釈一致するぞ」
うん、弟が全部言ってくれた。後輩は髪が白いからますますヘドウィグ……じゃなかった、シロフクロウっぽい。
「んー、最近気になってるのも加味してコザクラインコかな」
「色いいよな。あとはかわいい」
「ほんとだ。鳥ってカラフルな奴多いよね」
ピンと来なかった後輩は早速スマホで調べていたし、弟はなんか腕組みしてうなずいている。後方ナントカ面って奴? こいつ、本当に動物好きなんだな。全肯定じゃん。
あとで、鳥みたいに空を飛びたいならもっと別の鳥のほうがよかったんじゃないかと思い直したよ。インコってなんかペットとして大事に籠に仕舞われるイメージ強いもんな。
「そういうあんたは? どの鳥になりたいの?」
「シマエナガ」
「「かわいい」」
てっきり鷹とかかっこいい鳥が来るのかなと思ったら、私たちが挙げた鳥のなかで一番サイズも小さい奴がきた。しかも、全員一致の「かわいい」認定の鳥。意外すぎる。
「あいつになったら人にチヤホヤされそうだから」
「「そっち?」」
かまちょらしい理由だなぁ……。
(いつもの3人シリーズ)
8/21/2024, 12:15:00 PM