極解の魔法使い

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お題『空白』

何れ、向き合わないといけないことは分かっていた。
ただ、アイツから打ち明けてくれはしないかと期待をしていた。
しかし、今となってはそれが間違いだったと思い知る。
・・・・・いや、そもそもアイツが自分から言う事は無いとわかっていたはずだ。
アイツは悩んでる事、大変な事を『大丈夫』と言って言わないのは、出会った頃から変わらないのだ。
それでも、同じ職場になってからは多少なりとも、アイツから言う様になったと思っていたのだが・・・・・
「あんっの、馬鹿野郎・・・・・!」
矢張り、アイツの考えている事はよく分からない。
『何故、「ならない」と言ってた刑事になったのか』
『何故、相棒を俺に指定したのか』
『何故、普段は一人で居るのか』
『何故、危険な事ばかりしているのか』
『何故、ヤバい時に限って何も言わないのか』
頭が悪い訳ではないのは長い付き合いから知っている。
考えてる事が割と顔に出てる時もある事も。
なのに、肝心な時に限ってアイツは《何も言わない》のだ。
どうしようも無く、
アイツを知らない時期の【空白】と
こうして隠される【空白】に
今回も、忙しい所にさらに忙しくなる俺は、振り回されるのだ。



[それでも、気付いて助けに行くのは刑事である以前に、『腐れ縁で大事な友人の一人なんだ』と言う事を、急ぎ駆け出した彼は、《アイツ》に言っていない。
彼もまた、《アイツ》との間にある気付いてない【空白】があると言う事に何時、気付くのやら・・・・・]

By 腐れ縁の刑事と傍観している何者かより

9/14/2025, 4:39:10 AM