【鳥かご】
うちにはうさぎがいる
昼間はゲージのなかでノンビリ寛ぎ、夜になると部屋に放たれてとびまわる
ふわふわのラビットファー、大きな鼻、そろった前歯、肉球のない手足、長い耳、ほんのりあたたかいその体温、おやつの時の爛々と真っ黒になる瞳
かわいくて仕方ないのだが、いかんせん無口なのと
表情がわりと一定なのとで、自分が信頼されているのかどうかいまいち自信が持てない(残念である)
でもひとつのことには自信がある
この子は、「野に放ったらもう二度と帰ってこない」ということ
何かの拍子に公園にでも連れて行き、何かの拍子にパニックになって、何かの拍子にハーネスから脱出してしまったら、もう永遠におうちに連れて帰ってあげることはできない
それどころかおそらく、二度と姿を見ることもできないだろう なぜなら駿足すぎるから
家族全員、公園に連れて行こうと思ったことも、ハーネスをつけようと思ったこともない
ゲージって、おうちって、そういうものなのだ
鳥かごという言葉には、もうすでに別の意味が含まれている
言葉が熟語的に持つ別の意味にひっぱられないように、客観的に使いたい
7/26/2024, 7:08:51 AM