My Heart
「代償はお前の心臓だ。いいな?」
悪魔は僕の耳元でそう囁く。
「…あぁ、わかった。」
この国に、現実に、まさか悪魔なんてモノがいるとは思わなかった。
突然始まったいじめ。最初は小さな物を隠される事から始まった。
僕の反応を見て面白がった奴らは僕の私物を捨てたり、破いたり、燃やしたりと次第に酷くなっていった。
物だけに飽き足らず、奴らは僕自身を痛めつけ始めた。
痩せ型で非力な僕は奴らの格好のサンドバッグだったが陰湿で狡猾な奴らは顔だけには傷をつけないように気を回していた。
友達に助けを求めたが「次のターゲットになりたくない。」と僕を避けるようになった。
教師に助けを求めたが「指導しとくよ、けどお前にも非があったんじゃないか?」とあしらわれた。
親に助けを求めたが「仕事で忙しい、自分のことは自分で解決しろ。」と突き放された。
誰も助けてくれなかった。
あいつらの名前をノートに書きなぐった。
『憎い』とひたすら書きなぐって、表題に『遺書』と書いて机の上に置いて、ベランダに出た。
悔いは無い、できることはした。これで楽になれる。
「憎いんだろ?」虚空からおぞましい声が聞こえる。見渡す限り暗闇で人の気配はしない。
ソレはいつの間にか僕の背後に立っていた。
「!?」
「お!もしかして、お前、俺が見えるのか?」
見える。はっきりは見えないが真っ黒な人型の何か。ソレが話しかけてくる。
「憎いんだろ?俺の力があれば奴らを死ぬほど苦しめてやれるぞ?どうせ死ぬなら奴らに仕返ししてから死んだ方がいいだろ?な?」
「あいつらに…復讐ができる?」
「もちろん。」ソレがおぞましく笑っているのを感じて僕も思わず口角が上がる。
「どうすればいい?」
「簡単さ、お前の望みを叶える。それが終わった時に、お前の心臓を俺が貰う。願いを叶える代償はお前の心臓だ。いいな?」
そうして僕は、悪魔と契約を結んだ。
3/27/2026, 11:02:33 AM