弥梓

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『一年後』

※二次創作BL

もうすぐ街をあげてのデカい祭りがある。
隣にいる男はその日が待ちきれないと子供のようにはしゃいでいる。
オレより二つ年上のはずだが、童顔で背も低いから、年下のガキの面倒を見ているきぶんになることもある。
どんな屋台が出るのか、旅芸人は来るのか、矢継ぎ早に質問されて、そろそろ答えるのも面倒になってきた。
当日見りゃいいだろ、とおざなりに返事をすれば、君の目で見てきた祭りはどんな感じだったのか知りたいんじゃないか、と返された。
祭りのことも知りたいけれど、君のことも知りたいんだ。
そう言って微笑む顔を見ていられなくなり、オレは唇を重ねて誤魔化すことにした。
来年はこいつとこの街を出ているかもしれない。
そうしたら今年がこの街の祭りを見る最後になるかもしれない。
そんな考えが浮かんで、いつの間にか未来を考える自分に気がついた。
空虚な人生に絶望して、未来を夢見ることなどなかったのに。
ただ人生が終わるまで、時間を無益に消費していたこの自分が。
一年後、この街にいるか見知らぬどこかにいるか。それはわからないが、こいつが隣にいることだけは間違いない。

5/13/2026, 10:10:10 AM