作品27 部屋の片隅で
物が割れる音がする。叫び声と泣き声が混ざったよくわからない声も聞こえる。それとは別の怒鳴り声。怒鳴ってる声が大きくなるたび、人を叩くような音がする。
いつもの家族の喧嘩だ。珍しいものじゃない。怖いけど、慣れた。
私はいつもどおり部屋の隅っこに逃げて、クマのぬいぐるみを抱きしめればいい。けどたまに、私もそれに巻き込まれるから、ここにいるのことをバレないように小さくなる。
そして手を強く握り合わせて、目をつぶって何度も願う。早く終わりますようにって。
神様、私はこの時間が大っ嫌いだ。だからもうやめて。早く終わらせて。お願いします。
何度も何度も願うから、手に爪が食い込んで血が出てくるようになった。それでも、それは終わらない。クマさんを強く抱きしめる。やっぱり怖いよ。
今日も隅っこで一人、血を流す。
それが、私だ。
12/7/2024, 3:08:10 PM