スマホ画面と格闘して3日。LINEが開けない。
心当たりは特に無いのだが、開こうとするとアプリアイコンが表示された後にすぐにホーム画面に戻されてしまうのだ。他のアプリは問題無く使える。調べたが、LINEが開けないという現象に悩まされているのは俺だけのようだった。LINE側にも問題は無いらしい。
俺はどうにかして、3日前に送られている『日並』からのメッセージを見たかった。通知は来ているのに、読めないから困ってしまう。『日並』は俺の中学時代の親友で、最近は全くと言っていい程連絡を取り合っていなかった。だから突然彼からLINEが来た時は、すぐにメッセージを見て、返信しようとした。
何度も再起動したが同じだ。どうも、ただの不具合とは思えない。
そこで俺は、ある事を思い付いた。母親は確か日並の親の連絡先を知っていた筈だ。俺は微かな望みを持って、実家へ帰った。
「もしもし、あの、日並のお母さんですか……?」
『あ、はい…もしかして木更津くん?』
母親から教えてもらった電話番号にかけると、案外すぐに繋がった。聞き覚えのある元気の無さそうな女性の声。俺の名字を言えるなら間違いなくお母さんだ。
「実は、日並からLINEが来てたんですけど開けなくて返信が出来なかったんです。だから本人に繋いで欲しくて……」
『え…?それっていつ?』
「3日前ですけど…」
『嘘…本当に伊月からなの?』
彼女は暫く唸ってから、重いトーンで言った。
『伊月は…3年前に亡くなったのよ』
9/1/2024, 2:30:47 PM