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(疲れた)

 買い込んだ大量の画材の入った袋をベンチに置き、身軽かつ満身創痍の身体を座面に預ける。
 
自分の力で持ち帰れるキャパシティを超えた荷物は、歩き慣れた道であってもきつかった。ふと公園が目に入ると同時に「あ、これぶっ続けで行けないわ」と休憩にこぎ着けた。

 肩が重い。長時間荷を抱え続けたせいもあるが、慢性的に目を酷使した為にその症状は深刻だった。

「暑いな……」

 朝は寒かったのに、と続けて呟く。こうして長いこと留まっていると、太陽の照りつけがだいぶ強いと感じる。もう夏かと思う程だ。
 マスクを外す。画材袋から近くのコンビニで買ったチョコ菓子を取り、からからと振り出す。
 淡いピンクのボールを口に放り込む。

「……ん」

 苺の甘酸っぱい味が広がると共に、花の香りが鼻腔を掠めた。
 
 こうして公園でゆっくりする事は最近は滅多になかった。それに加えて、四年間に渡るマスク必須の生活。
だから、その香りがなんだか懐かしく思えたのだ。

「春だな」
 
 少なくともまだこの時だけは、と溶け始めのチョコを口に放り込んだ。

4/11/2023, 4:36:41 AM