語り部シルヴァ

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『さよならは言わないで』

道中に左右に道が別れてその間に看板が立てられている。
「どうやら、僕らはここまでのようだね。」
看板の行き先を確認した仲間が伸びをしながらつぶやく。

俺たちは目的までの道中が同じで
一時的に仲間になって旅をしていた。
遺跡を巡ったり途中の街で飯を食ったり
パーティメンバーのような仲になった。
これからもっと2人で面白いことと
出会うんじゃないかと内心期待していたが...

俺たちを分ける道がついに来てしまった。

「ここまで長いようであっという間だったね。」
看板の近くで休憩を取りながらだべる。
半年ぐらいだろうか。1年の半分というのは
本当にあっという間だった。

「せっかく仲良くなったのになあ...寂しくなるが
お互いの目的を達成するには仕方ないな。」

「だね。もしかしたらまた出会うかもしれないけど。」

それもそうか。と返しながら空を見上げる。
仲間というのも悪くないかもしれない。
そう思わせてくれるような仲間でよかった。
休憩はあっという間に終わり、出発の時間になった。

「じゃ、お互い頑張ろうか。」
「あぁ、ありがとな。また。」
うん、またね。

手は振り来た道を振り返らず歩き続ける。
またどこかで出会えるだろう。
不思議とそう感じるからさよならは言わなかった。

語り部シルヴァ

12/3/2024, 10:38:53 AM