まさか、こんなことになるなんて
君を照らす月の光によって、君は狼になっている
僕は君のことを親友だと思ってたんだけど、君にとって僕はただの餌だったんだな
悲しいよ
それにしても、人狼が本当にいるとは
目の前で変わってしまった親友の姿を見ながら、僕は二足歩行の狼もかっこいいもんだな、などとのんきなことを考えていた
たぶん、信じられない光景のせいで感覚が麻痺してしまっているのだと思う
人狼は僕を食い殺すために、ジリジリとこちらへ歩を進める
僕が逃げる素振りを見せた瞬間、飛びかかるつもりだろう
まあでも、襲われたのが僕でよかった
他の人が食い殺されたら、心が痛む
それに……
僕ならこいつを抹殺できるだろう
怖がらせないために、親友には僕の正体を教えてなかったからな
自分は100%狩る側だと思ってるんじゃないか?
残念ながら、そうはいかない
君は100%狩られる側だよ
なにせ僕は、ドラゴンなのだから
この場所で元の姿に戻るのは、ちょっと色々不都合があるからやめておくけど
人の姿でもドラゴンの力は使える
手始めに闘気を出す
人狼は一瞬でこちらの正体、力量差を察したようだ
全速力で逃げ始める
しかし僕から逃げることはできない
僕は背中から翼を生やし、人狼を追跡
すぐに追いついて人狼を押し倒し、動きを封じた
親友に対してこういうことをするのは、心苦しいけど
この村で人狼の犠牲者を出さないために、僕は口を大きく開け……
灼熱の炎を人狼に向けて放った
頭を焼いたので即死だろう
さらば友よ
君による偽りの友達ごっこはこれでおしまいだ
今度は、君みたいな危険な奴ではなく、もっといい親友ができることを願うよ
ともかく、村人が犠牲にならなくて本当に良かった
親友が人狼だったのは残念だけど、いつまでも落ち込んでいるわけにもいかない
もしかしたら、他の怪物が現れるかもしれないし、この村はドラゴンたる僕が守らないと
それが、この地に加護を与える神との約束なのだから
11/16/2025, 10:59:13 AM