夢見る少女のように物語の主人公になれたなら自分は何か変われただろうか。今置かれている状況や容姿、性格が一変して、きっとハッピーエンドに終わるようなシナリオを辿っていくことになるだろう。
今の頭から指先までを含めた変わらない自分のまま主人公になるなんて事はありえないのだから。
スポットライトの当たらない隅で光を浴びる他人を横目でみる程度の人生はみんなが思うよりも平和だ。つまらないと他人の人生を羨む者もいるが、自分はそんな事を考えた事もなかった。目立たない立場にいて自己主張もはっきりとしない。周りが赤だといえばアカで右といえばミギと答える。価値とかエゴイズムだとか訳の分からないモノは存在しない。
平和。
その一言だけで、十分な人生だ。幸せなんだ。自分は特別でも可哀想でもない人間だから。
ただ…ただ、自分にもしスポットライトの当たるような人生が回ってきた時があるとするならば、その時はきっと涙を流してしまうだろう。
題材「夢見る少女のように」
6/8/2025, 8:25:16 AM