喜村

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 君は花を持ってきて、笑顔で僕に聞く。
「花占いって知ってる?」
 六枚しか花びらがない白い花を押し付けてきた。
「……好き、嫌い、って言いながら、花びら摘まむやつ?」
「そうそう!」
 君はにこにこしていたが、僕は小さくため息をつく。
「数えられるやつだと、逆算して好きで終わるか 嫌いで終わるかわかっちゃうんだよ?」
「そうなの?」
 君はつまらなそうに口を尖らせたが、何かを思い出したかのように、それじゃあ、と、次の花を持ってきた。
「これなら、わからないでしょ?」
 僕は唖然とした。持ってきたのは、あじさいだった。
「……これ、どこが花びらか分かっていってる?」
 君ははにかみながら、さあ?、と悪びれずに答えた。
 こういう君の適当なところが、嫌いで好きなんだよな、と、僕は笑った。
 紫色のあじさいも、小さな花を咲かせて、まさに、お花が笑った感じがした。


【好き嫌い】

6/12/2023, 10:30:14 AM