飽和人

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世の中には、夏休みの冒険がテーマになっているゲームが多々ある。クリアすれば夏休みが明けるというわけでもない。データを消去して、また始めから遊び直すのもよし、クリア後もやり込み要素があるゲームであれば、引き続きキャラクターを育てるのもよし、というか今のご時世、一通りゲームをやり終えたなー、なんて思っていたら、またストーリーが追加されるなんてこともざらではない。終わらない夏休み、なんて羨ましいのだろうと何度感じたことか。

いつの日か、日記を書くのが趣味だと友達に話したことがある。まじめちゃんか、マメな性格だねーと、多分、褒め言葉として受け取っていいのであろうことをよく言われたものだ。日記を書き始めた、明確なきっかけや理由があるわけではないのだけれど、気がついた時には習慣になっていたわけで。

高校生だった私が書き綴った日記帳を見返してみる。当時の楽しかった日々が脳裏に蘇ってきて、自然と頬が緩むのを感じた。同じ夏は戻っては来ない、でも私の思い出が途切れることはなく、あの日々を過ごしたことは事実として残っている、思い返すことだってできるのだから。それか少しだけ昔に返って、画面に映る主人公と共に、終わらない夏休みの冒険に乗り出すのも悪くはないだろう。そう思った私は日記帳をパタンと閉じて、ゲーム機を取り出しに押し入れへと向かった。

8/18/2025, 7:32:25 AM