風伯

Open App



           「海へ」



        急な坂道を降っていくと,

 

      コンクリートに砂が混じってきた。



      炎天下,額から汗が滲んで頬を伝う。



      ナツメヤシ🌴の下で水を飲んで小休止する。



      意を決して,再び歩き出すと,



      建物の隙間から光り輝く海が見えた。



   浮き輪を持った子どもや,水着姿の男女とすれ違う。



      どこかともなく磯の香りが漂ってくる。



    不意に坂道が終わり,大きな道路に突き当たる。



     耳を澄ますと遠く潮騒の音が聞こえてくる。



    僕は喜びを噛み締めながら浜辺をゆっくり歩いて



        一気に海へ飛び込んだ。

8/23/2024, 3:53:20 PM