ぼたん丸

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「―――!見てくれ!」

こっちを見て笑うお前の姿に重なる、真昼の太陽。
眩しさに目を細めれば、手を引かれて日向に連れ出される。

「向こうに珍しい鳥がいたんだ!」
「おー、わかったから落ち着けって。」

興奮した様子のお前は、ずいずいオレを引っ張っていく。
キラキラと輝く宝石のような目は、色鮮やかな世界を写している。
その輝きが、オレには眩しい。

(……あぁ、そうだ。お前はいつだってオレの先を行く。 )

スタートは横並びだったはずだった。
一緒に走り出して、同じものを見ていたはずだった。
それなのに、お前はいつの間にかオレの前にいて、オレはお前を追いかけてばかりで。
どれだけ走っても、あと少し追いつかない。

「―――、あの木まで競走しよう!」
「いいぜ、へばっても知らねぇからな?」

二人で顔を見合わせて、合図もなしに走り出す。
ぐんぐん加速して、走るお前は笑っている。
オレは途中で走るのをやめて、お前の後ろ姿を見ている。

(……)

お前はこれからもずっと、オレの先を行くんだろう。
走って走って走り続けて、オレに追いつかせてなどくれないのだろう。

(眩しい、なぁ。)

なぁ、太陽の輝きを瞳に宿した人。
誰よりも、何よりも明るく眩しい人よ。
その光の一端を、オレに掴ませてはくれないか。


[太陽の下で]

11/25/2023, 11:24:58 AM