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落下…

高い所から 手を離す
それはゆっくりと くるりくるりと廻りながら
羽根のように ふわりと落ちていく

両手でやっと すくったそれは
手と手の隙間から静かに 緩やかに落ちていく

時にボールのように 軽やかにバウンドしながら
音を立てて落ちていく

大切にしていたにも関わらず うっかり目を離して
高くもない机から 滑るように落ちていく

つまんでいた力加減を間違えて落としてしまう

落ちた先は 拾える姿 拾えない姿
粉々になってしまったり
溶けて跡形もなかったり
何処に行ったか解らなかったり

自分自身が 体の中心からグウウウンと沈む
ああ 落ちている 落ちていく 止められない
落ちた先が 冷たくなければいいな
硬いコンクリートみたいじゃないといいな
せめて マシュマロのようなちょっと
暖かそうな 優しい器で受け止めて欲しいな

落下しても
手を広げて 受け止めてくれなくてもいいから
その場に 見上げて落ちてくる私を
待ってなくていいから
落ちていく私を 見ていなくていいから
勝手に 落下させて
落ちた地面が どうなっていたか
それを自分で確認して 決着をつけるから

叶わぬ恋心は
きっと どんなふうに落下しても
散ってしまうんだろうな
片思いで終わった恋心も 落下して風化していく
でも 恋に落ちる心がある限り
何度でも 落下して 落下して
いつか 優しいマシュマロの器に出会うんだ

それは 悪くない
落下冥利に尽きる って言ってやるんだ



*読んで下さり ありがとうございます*


6/18/2024, 11:18:56 AM