「この放課後という絵はどういった意味を持って描かれたのでしょうか?」
個展に取材に来た雑誌の記者は、一枚の絵を指さして私に問いかけた。
美術室の壁一面をマリーゴールドで埋め尽くしたその絵は、オレンジや赤が主張して、まるで燃え盛るようだった。
「あぁ、この絵ですか。1番の思い出なんですよね」
コンクールに出るという理由で借りていた美術室。
当時高校生の私は、高校生活の放課後を1人で過ごしていた。
大きな窓から入る夕日が綺麗で、グラウンドにはサッカー部と野球部。
そして手を繋いで帰るカップル。様々な青春の形を見て来たのだ。
「卒業前日ももちろんそこで過ごしてました。そしたら今まで見たことないくらいのオレンジのような赤のような綺麗な夕日が差し込んできたんです。
私にはそれが、一面のマリーゴールドの花畑に見えて」
ポジティブもネガティブも持ち合わせた、特別な「放課後」
10/13/2024, 9:38:40 AM