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僕は、ツギハギだらけで産まれてきました。
博士曰く、母が破水した時に事故にあったと。今となっては、それが事実かなんて分かりませんが。誰もが恐ろしいと感じる僕の外見は、僕を人間たらしめない要因でした。
博士はそんな僕の身体を大好きだと言います。
他の誰にもない、僕の個性だと。そう言います。
けれど、僕の個性が無くなったら、ツギハギをする必要が無くなったら、博士は僕に飽きるのでしょうか。
そんな不安を抱えています。そしてつい

「博士、僕はツギハギでなくなったら、博士の言っていた個性は消えてしまう。僕は、博士がくれた言葉さえもなくなってしまう気がして、とても怖いのです。どうしたらいいのでしょうか。」

なんて、聞いてしまうのです。僕は、博士のお情けで育てて貰っていて、博士は僕のツギハギが興味深いだけだと言うのに。ただ、それだけの事実が僕の胸を突き刺して、耐えられそうにもない程、悲しみが込み上げてくるのです。心の中の静かな慟哭は、博士には見え透いているのでしょうが、僕は続けます。

「あなたが、僕に興味を示さなくなったら、僕は欠けたままにしか生きられません。誰かが、僕を愛してくれたとしても。僕は、あなたの愛しか求められません。」

そう吐き捨てるように言い切ると、博士は決まってこう言います。

「君の個性も好きだけれど、僕は君という人間が好きなんだ。ただ1人の僕の大切な子供だから。子供を愛さない親がいるかい?それに、君は欠けたままでも素敵さ。不完全な僕が君と出会えたように、不完全な君と欠片を補って生きていきたい人もいるさ。」

そうやって、僕の心を補ってくれる博士は、何もかもを僕にくれる。不完全な僕に。

題:不完全な僕

8/31/2024, 11:19:17 AM