300字小説
緊急事態レース
小惑星帯に向かう貨物運送船の発着デッキに向かう。
「元小惑星帯レーサーのパイロットですね。惑星時21時18分、小惑星帯からこちらに向かう観光船が遭難しました。乗客乗員157名。残存酸素量は残り8時間分です」
壮年の運送業の男がニヤリと笑って振り返った。
事故救助隊と酸素タンクを乗せ、自分の船に乗り込んだ男がAIに呼び掛ける。
『話は傍受していました。レースーシップモードを起動、チェックも完了しています』
「さすがだ、相棒。じゃあ、ちょっくら行くか」
男がパイロット席に座る。
「……157名の命が掛かっていのですが」
「緊張しては上手くいくものもいかねぇ。こういうのはスリルを楽しむくらいの気持ちでやらないとな」
お題「スリル」
11/12/2023, 12:28:46 PM