春ノ花

Open App

夢を見てたい

僕は毎晩同じ夢を見る
人通りの多い真っ直ぐ長く続く路地を歩いている
その先には少女が立っている
黒の格好に黒の帽子、そしてその隙間からは黒の長髪が見える
そしてその少女は、顔がない

僕は毎晩その人の下までたどり着けずに目を覚ます
あれが誰なのか、なぜずっと立ったままで動かないのか
夢だからと片付けてしまえばそれでおしまいだが、僕は考えてしまう

その日学校に行くと授業で〈自分を見つめ直そう〉ということをした
みんなにプリントが配られ、そこには『自分はこんな人間』という文字だけが書かれていて大きい空白があった
「今からそこに自分について思うことを書けるだけ書いてください。そして、あとで隣の人とそれを見せ合って、主観的な自分と客観的な自分を比べてみましょう」
先生はそう言った

僕はなんて書くべきか悩んだ
自分で自分のことがわからない
僕は白紙のまま隣の人に見せた
「それが自分自身なんじゃない?」
隣の席の彼女は言う
「私から見たら、君は真面目かな。それでまっすぐ、周りの人ばかり気にして、自分をみてないんじゃないかな。」
僕はその言葉に納得した

今日もいつもと同じ夢を見る
人通りの多い真っ直ぐ長く続く路地を歩いている
その先には少女が立っている
黒の格好に黒の帽子、そしてその隙間からは黒の長髪が見える
そしてその少女は、顔がない
しかしいつもと違って、今日はその少女の下へ辿り着いた
そして顔をよく見れば、見覚えのある顔だったと思った途端
目の前に鏡が現れた
そこには自分だけがいた

1/14/2026, 2:14:08 AM