文学すきー!

Open App

<ねえ、今日おわんなくない?)
もう寝ようとしていた、夜の事、
カナの一件のLINEで気がついた、時計がおかしい
27:10
画面の左端の数字、それは今日の時刻のはずだ。
だけどこんな数字は無いはずなのに。
画面を上から下へとスワイプし、
今日の日付を見る、7月11日、
おかしいそれは昨日のはずだ。
今日がまだ終わらない
部屋の時計も止まっていて、
窓の外は雲でずっしりと重くて、暗い
カナにラインを送る。
(本当だ!なんでだろう>
なんでだろうねとLINEを送り合って外を見てよく分からなくて一階に降りた。
階段がいつもより静かな気がする。
木製の手すりは冷たく、夏にしては肌寒い、
上着を取りに行くのも億劫で、私はただ足を進めた。

リビング、こんな夜に来た事は
多分とても久しぶりで、あれは確かお父さんだ、
お父さんと夜更かしをしてテレビを見た。
テレビ...
リモコンを探す、
だけど暗くてどこにあるかわからない、
電気をつけて
起きてるのがお母さんにバレるのも嫌だったから、
テレビに近づき、電源を押した。
つかない
もう一回押す、まだつかない、
つかないな...
ばっしっと叩いてみる。起きてと急かすように、
音だけついた、
今度は撫でてみる、早く早くと私を起こす母のように
ぼんやりと、光が溢れ、
それは輪郭になり、映像になった。
だけどほとんどの番組が再放送で、
明日...7月12日の内容はやってないみたい。
ピコン!
元気な通知音と、
スマホにカナからの通知がやってきた。
  
<やばい!テレビつかん!)
<怖すぎ!)
          (叩いたらついたよ>
<マジ?)
         (撫でると映像もつく>
<本当じゃん!すご!)

ありがとう!の元気なスタンプが送られてくる。
このホラーな状況でも、元気なのがカナらしい。
横から、淡い光がさす。
きっと月明かりだ
さっきまで曇っていたはずだが、少し晴れたらしい
雲はするりするりと
月の前を通り過ぎ、そして月が、空に現れた
月の形が...いつもと違う
いや正確には同じだだけど、角度が違う
空にあるはずの三日月は、いつもと違い、横になっていた。
まるで夜に眠る瞳のように。
もし、ずっとこんな感じで、
このまま明日が来なかったら、
どうなるんだろう。
きっと農業とか出来なくなって、
みんな大慌てで、
戦争とかが起きて
きっと学校は休みだな、
ちょっと場違いな嬉しさが顔を出す。
ピコン!

通知、カナからだ
<明日が来んかったら、明日学校休みじゃない?
やったー!)
「ふっ」
呼吸がそのまま笑いに変わる、
外はこんなに暗いのに、心はこんなに幸せで、
カナと一緒だったら、
明日が来なくても
別にいいや

今日は、多分世界が、ちょっとおかしい。
多分みんな眠っている、明日もテレビも月も、
そして“今日”は夜更かししてる。私とカナと一緒に

『一件のLINE』

7/12/2024, 1:38:48 AM