こんな夢を見た。資料によると、今日は流星群が見える夜。つまり、私が待ち望んでいた星祭りだ。星祭りに参加すると、瓶にぎっしり詰まった金平糖が貰える。この前は金平糖を自作するのに失敗し、文字通り苦汁をなめることになった。そこで今回の星祭りでは、どこから仕入れたものかを尋ねる。そして仕入れ先から作り方や必要な機械を聞き出し、船内で大量生産出来るようにするのだ。そうすれば、好きなだけ金平糖を食べることが出来る。ウキウキしながら会場に行くと、既に人々は集まっていた。食べ物などの屋台があったが、私の目的は一つ。まっすぐ広場に向かい、夜空を仕立てたようなワンピースの少女に話しかける。
「こんばんは」
「こんばんは、星祭りへようこそ!あなたにも、星の導きがありますように!」
少女は背後の箱から、金平糖が詰まった瓶を手に取り手渡した。色とりどりの小さな星が瓶の中にぎっしりと詰められ、ずっしりと重たい。
「おお…!」
感動で手を震わせていると視線を感じ、少女の怪訝そうな目と目が合った。そうだ、仕入れ先を聞かなくては。
「あー、そのすみません、この…」
突然歓声が上がりそちらを見ると、無数の星の光が夜空に流線を描き消えていく。流星群だ。気づいた少女は目を輝かせ、夜空に夢中になっている。この状況で仕入れ先を聞くなんて、野暮と言うものだろう。少し残念だが、来年の自分に任せよう。会場を歩き回っていると人々は、流星群に向かって何やら呟いている。何だろう?耳を澄ますと、自分の欲望を呪文のように唱えている。端末で調べると、この星のジンクスについての資料が出てきた。流れ星に願いを三回唱えると叶う、そう言う流星信仰があるみたいだ。
「願いが叶う、ねえ…。でも、この光は確か…」
今日の流星群に願いを叶える能力は無い。何故ならこれはスピード狂の宇宙人たちが、自慢のマシンで走り回っている光だからだ。情緒も何も無いが、事実だから仕方ない。とは言え、金平糖のお礼ぐらいはして良いだろう。
「何か、あったっけ?…あ、そうだ。あれ、使えるかも」
スピード狂たちによる流星群を背に、端末を操作すると高く掲げる。すると、星の光が会場全体に優しく降り注いだ。これは、パーティ用のエフェクトアプリだ。持て余していたが、使い道があって良かった。歓声がますます大きくなり、会場は盛り上がった。これで、金平糖のお礼は出来ただろう。
「さて、と…」
帰って、金平糖をゆっくり味わおう。重たい金平糖の瓶を落とさないよう抱きかかえると、帰路を急いだ。
4/26/2026, 7:16:21 AM