【花束】
――将来はお花屋さんになりたいな。
そんなふうに語っていた好きな子がいた。恋仲ではないが、友人関係と言うにはあまりにも距離が近い子が。
「また来たよ」
そんな彼女に会いに行くときは、必ず何かしらの花束を抱えていく。彼女が好きと言っていた花、花言葉を必死に検索して選んだ花、なんとなく素敵だと思った花。その時持っていくものは完全に自分の気分次第ではあるが、全て彼女のことを想って選んだ花だ。
そんな花束を無機質な石の前に置き、しゃがんでじっと見つめた。
「僕の想い、届いてるかなぁ?」
長年片想いし続けたが、それは叶うことがなかった。彼女は数年前に交通事故に巻き込まれて亡くなり、手の届かない存在になってしまった。だから、唯一知っている彼女の夢の為に花束を贈り続ける。
死者を思い出すとき、その人の下には花弁が舞うらしいから。彼女の為に花束を、花弁を贈る。
2/9/2026, 2:04:02 PM