【君は今】
“君は今”となると、大概の人は特別な人を想像するであろう。
私は大して何でもない人の事を思ったりしている。
例えば、一緒のクラスになったが大して話すこともなかったあいつとか。
例えば、たまたま授業が一緒だったとなりのクラスのあの娘とか。
例えば、就活で偶然同じ企業を受け、その時なぜか面接後一緒に喫茶店でダベっていたあの人とか。
私にとって、人生においてどうでもいい人たちを思い浮かべることがあるのだ。
大概こういった人たちは私の事を微塵も覚えていないだろうが、別にそれは良いのだ。
私の記憶にいたという事実があるからである。
こう考えると、私は私自身が気持ちが悪い奴であるような気がしてならない。
人生において影響を与え得ることのない相手を覚えていることは、果たしてどんな意味があるのだろうか。
ふっと息をつき、椅子に座り込む。
何も考えずぼけ~っとしていると、時折過去の記憶が巡ってくる。
90年代のパソコンほど容量の少ない私の脳みそは、こんなに忘れても良い人の記憶を保存している。
私のキャッシュの削除の仕方は不明である。
データの削除方法も知らない。
無理やり削除しようとすると、身の回りの大事な記憶も忘れてしまいそうである。
なんと不器用な脳みそであろうか。
精密でなくともぼんやりと覚えている記憶。
私は今でも過去を生きているのだなと自らの未練がましさに嫌気が差す。
もう会わない人とは死人も同然なのだ。
わたしはもっと“今”の人に会いたいのだ。
まあそんな私にとってどうでもいい人たちであっても、今皆幸せでいてくれれば良いのである。
こんな未練ともおさらば!できるほど私の脳みその処理能力は高くないのである。
次のアップデートはいつだ?
2/26/2024, 12:11:02 PM