ハクメイ

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そこは墓地だった
周囲には似た様な墓石と、少し枯れた花が刺さった花瓶達が、花畑の様に広がっていた。
その中の、真新しい花が飾られている墓の前で、一人の男性が手を合わせ、目を瞑っていた。

男性は、黒い髪と、少しよれた黒いジャケットを羽織り、右耳辺りの髪が白く染まっている。
40代後半ほどの少し渋い顔をあげ、立ち上がった。
その顔は朗らかで、まるで親友と会えた様な、そんな顔だった。

「じゃあな、また来るよ」
墓石に向かって、呟いた。
背を向け、墓石の間にできた隙間を通り抜け、簡易的に作られた駐車場に辿り着く。
シルバーの大きなワゴン車が、ぽつりと停車しており、後部座席の扉が自動的に開いた。

「奥方とは喋れたか?」
固定された車椅子に乗っている、薄い紫の長髪を蓄えた女性が、そう聞いた。
「できたよ。すまんな、待たせちまって」
男性が乗り込み、シートベルトをつける。
「良いっすよ〜丁度、情報を整理したい所だったんすよ〜」
前方座席、運転手席の隣に座っていた、若い銀髪の青年が、おちゃらけながら気遣う。
「それでは、向かいますか?それとも、準備してから行きますか?」
ハンドルを握っている、茶髪の若い女性が、不安がながら質問した。
「あぁ、このまま行こう。今日はフルメンバーだから、いつもより派手にやってやろう」

四人の共通した黒いスーツの胸元には、盾のような刺繍があしらわれている。
まるで一つのグループかのように、ここが居場所だと見せつけるかのように。
墓参りを終えた男性は、ニヤリと笑った。
『もう大丈夫』と、彼女に伝えるかの様に。

お題『待ってて』

2/14/2026, 2:41:40 AM