まぐ

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雨は予報された通りに降るわけではない。だから、私が気まぐれに外に出た今この瞬間降り始めることだってごく自然なのだ。
こうして雨を惹きつける自分を恨んだことはない。雨は私のことがきっと好きでたまらなくて、ついついやってきてしまうのだろう。それはとても愛おしく、同時になんて身勝手なのだと怒りすら湧いてくる。だって──ほら。
帰宅した瞬間、愛しの「彼」はどこかへ行った。散々好きだと囁くくせに、私が愛を返そうとすると恥ずかしがっていなくなるのだ。
我慢の限界に達したある時、シャイなあの人を振り向かせる術をひとつ思いついた。私は次の日海へ身体を沈めた。そこは私を出迎えるように輝いているようにも、追い出そうと嘶いているようにも感じた。でも、どう思われようとも構わない。私だってあなたが好きなのだ。

──彼女がいなくなったその日、世界中が突然の豪雨にみまわれたという。

5/20/2023, 3:00:41 AM