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『スマイル』

スマイル0円。
そんな言葉も幾星霜。

少子化が進み、人件費を上げても働き手が集まらない今となっては、生身の人間を雇っているところなど極わずか。

工業などのオートメーション化された業務はそれで十分だったが、数十年が経つうちに、対人業務ではそれ以外のことに付加価値を求める声が上がり始めた。

会計処理やおすすめ商品の表示の際に、にこやかに笑いかけてほしい――そういう要望だ。

「ありがとうございました」
「よくお似合いですよ」
そういった言葉と共に、笑顔を。

人でなくても構わない。
ロボットでも、バーチャルキャラクターでもいい。
そのためには対価を払う、と。

そこから先は、いかに魅力的な笑顔を提供できるかが企業の課題となった。
笑顔を生み出すための研究費、開発費、設備費、その他諸々。

現在、もっとも価格の高い商品はスマイルである。

2/9/2026, 9:11:33 AM