"貴方はできる子ね"
"貴方は頭が良いから大丈夫よ"
"貴方は何でもできるわね"
なんて褒め続けられた主人公がどん底まで突き落とされ、そこから這い上がる、なんていう物語を何度も読んだことがある。
世間は『可哀想』だとか『すごいな』とか思うのかな。
私はこういう話に共感も感動もしたことがない。
はぁ、とため息をつき本を閉じる。窓の外には、今日も自身の光を誇らしげに見せびらかす太陽があった。
ああいう人たちは、褒められ続けて自分に誇らしさを覚えたから、どん底で苦しくなるのだ。
端から、期待なんてしなければいいのに。
なんて、昔の栄光を引きずったまま、その誇りだけでズルズル生きてしまっている私に思われたくないか。
扇風機の首振りを眺めながら考えていた。
8/16/2024, 12:58:13 PM