彗皨

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冷たい地面とぼーっとする頭。
「ここ…」
「おはよう」

場所を尋ねる前に聞こえた声。
「だ、だれっ……う、…」
「ふふ、どうしたの?」
「頭が、、痛い…」
「少し身体が冷えたのかも。」
「貴方は…いったい、、?」
「私のことはあとにして、とりあえず毛布かけとくね。」
「あ、ありが…」
「大丈夫。やりたくてやったまでだから。」

まだ意識が朦朧としてる。時々くる軽い眩暈は、私を夢の中へと誘惑する。
「……まだ意識がちゃんとしてないのね。」
「…」
私は軽く頷いた。
「…本当に綺麗な顔ね。」

想像していなかった発言に、思わず目が見開いた。

「あぁ、早く私の元に来て欲しかった…
お迎え遅くなってごめんね。」
何かを企むように微笑む彼女を、私は睨みつけた。

「笑 可愛い…そうよね、酷なことしてしまって申し訳ないわ。」
「……当たり前でしょ。こんな誘拐みたいなこと、すぐに警察に…」
「縛るなんてしたらしんどいわよね。もう少しで縄は解くから少しだけ待ってちょうだい。」
「何を言ってるの?私は誘拐に対して……」
「誘拐??ふふ、あはははは笑!!」

奇妙に笑う彼女が恐怖だった。
「私は宝物を保管しただけ。それが誘拐だなんて、少しマニアックなギャグが好きなのね。ふふ、」
「ギャグって……ふざけてるの!!!?」
「ふざけてなんかないわよ。」
「っ…!」
真剣な低い声で言った台詞は、私の朦朧とした意識に目を覚ませた。
「宝物よ、貴方が。」
「タカラモノ……ばかなこと、いわない……で。。」
「あらどうしたの?笑あんまりしっかりと話せてないようだけど」
「呂律が…まわらな…い。」
「そりゃそうよ。」
「"宝物" は "モノ" よ。ものは喋らないわよね?」
「……」
「はあ、本当に美しい……やっとこんなに近くで保管できる…ふふ笑」

『愛してるわ。私の宝物ちゃん。』

最後に聞こえた言葉は今も私の頭の中に響いている。

11/20/2023, 5:20:48 PM