「小さな命」
生き物係になったのは自分の意思ではなかった。図書係も給食係もやりたくなかったから手を上げずにいると、一番最後の余りものになっただけだ。生き物は嫌いではないけれど、好きでもない。だから拒否はしなかったし、さぼることもなかった。
金網で覆われたうさぎ小屋へと踏み入れる。まだ僕に慣れていないうさぎは、物音に驚くと小屋の中を駆け回った後に隠れてしまった。
空になったエサ箱。みんなから集めたにんじんの皮やキャベツを小さくちぎって置いておくと、いつの間にか無くなっている。
家で飼っているモルモットも野菜が好きだ。このまま持って帰ってしまえば、うさぎは腹を空かせたまま死んでしまうのだろうか。鳴くこともできず、小屋から出ることもできないうさぎの命を、僕が握っている。
2/25/2024, 12:54:03 AM