今日の天気は何ですか?
少年が尋ねる。
一瞬意味がわからなかったが、少年を見た瞬間に理解した。
彼の焦点は虚空を彷徨っている。
周りに人がいない中で発された質問を答えるのは私しかいなかった。
晴れているよ。
そう答えると、少年はさらに質問を繰り返す。
雲はありますか。
すこしあるね。
問答を繰り返すうちに少年は語った。
昔は目が見えたが、徐々に見えなくなってしまったこと。
亡くなった母親との約束を。
『雲一つない青空の日に、家族でピクニックをしよう』
彼は、待ち続けているのだろう。
もう二度と揃わない家族と、もう二度と見ることのできないどこまでも続く青空を夢見て。
いつか晴れるといいな。
そんな言葉を呟きながら。
10/23/2024, 12:54:07 PM