渚雅

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「どうして?」

それがあの子の口癖だった。


調べてわかること、考えてわかること、想像してわかるかもしれないこと、答えなんてないこと、正解がひとつではないことetc.

絶えず思考回路を回しているような 世界の全てを知りたいと願っているような そんな子だった。


たぶん、あの子の考えは基本的に間違いではなかった。どちらかといえば正しくて、世間では正論と呼ばれるような真っ直ぐな考えを好む子だった。

純粋で気高くて無垢で。知らなくていい事まで知ってしまうような子だった。



『どうして なのかな?』

あの子は最後まで変わらなかった。
答えを求めているようで自己完結で、知ってしまった事象から目を逸らせない素直な真っ白な子だった。



「どうして?」

だから今日だけは。あなたを、あの子を思い出してそう呟くことも許されるでしょう。

__たとえなにがかわらないとしても。

1/14/2024, 12:57:22 PM