「画面の向こう」
あの後、私はいつも以上に早歩きで帰った。バックの中に入る1枚のディスクに私は気が気ではなかった。
普通ならつけるはずのポータブルプレーヤーもつけるのを忘れていた。
妹の部屋で私は急いでDVDを入れた。四角い画面には一人の少女が映っていた。
黒髪でメイクもしていない。髪もコテで巻くには短い。西野カナの真逆のようなイメージだ。
それでも、何故か私は見入ってしまった。
『えーっと…。今これを見ているあなたへ。
こんにちは…。私、高橋紬です。突然ですが、私のお願いの代行をあなたへお願いしたいです。とりあえず、図書室。夏目漱石の[こころ]。牛みたいにゆっくりでいいから。』
そこで映像は途切れてしまった。妹にバレないようにディスクをきちんとケースにしまって私の部屋に向かった。ふとケータイを見ると、レナから連絡が来ていた。コムにも連絡が来ている。でも、なんか連絡する気になれなかった。
今日はメイク落として寝ちゃおっかな。今日盛ってなかったし。自堕落な私はそれしか浮かばなかった。
紬…さん?、誰なんだろ。夏目漱石の[こころ]忘れないように私は手に油性ペンで[こころ]と書いた。
眠りにつく前に私の頭の中は紬さんでいっぱいだった。
【眠りにつく前に】
〇あとがき
こんにちは。NNです。
前回の投稿のお話の続きを書きました。
よかったら読んでみてください。
11/2/2024, 4:43:24 PM