崩壊するまで設定足し算

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▶56.「変わらないものはない」
55.「クリスマスの過ごし方」
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1.「永遠に」近い時を生きる人形‪✕‬‪✕‬‪✕‬
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資料のアーカイブが終わり、
地下通路も、局長からのメッセージで隣国に繋がっていることが分かった。

再度施設内を捜索したが、
やはり年数が経ちすぎていたために劣化が激しく、
それ以上の収穫はなかった。


そして今。
人形は、大型機器の前に立っていた。
目線は開始ボタンに向けられている。
ナナホシは人形の肩に乗っている。

「押すぞ」
「ウン」

‪✕‬‪✕‬‪✕‬は手をのばし、
しかしボタンに触れる直前で下ろした。

「ドウシタノ?」
「今の私は隣国に行くつもりはないが、この先に何があるか分からない。選択肢は多い方がいい」
「壊サナイノ?」
「ああ。電源を落として、見つからないように穴も塞ごう」
「ソウシヨウ」

人形とナナホシは一旦施設から出た。
「飛べるか?」
「デキル」

指先から羽を広げ空へと飛んでいく。
施設の動力源を探すためだ。

出入りに使っていた穴のある岩の上に、レンズ状の突起物があった。
人形と同じように日光を取り込んでいるとみていいだろう。

岩は側面から登るのは難しく、人間には上から見る手段もない。
人形が投げた布をナナホシが広げ、取り込み装置に被せた。

「僕、フンコロガシ違ウ」
重りとなる石も同じようにして乗せた。
人形には、ナナホシの言う言葉が理解できなかった。
聞こうとしたが、嫌がる素振りを見せたために止めた。

施設に戻って、崩れた家具をひとまとめにしながら
機器の電源が動力切れで落ちるのを待ち、

触っても起動しないことを確認してから施設を出た。
岩の穴には外から大きい石を置いて塞いだ。

「変わらないものはない、と人間はよく言うが」
「ウン」
人形は岩に背を向け、歩き出した。
ナナホシは肩から首を伝って頭の上に移動した。

「それは本当だった。人間と離れるだけの予定だったのだが」
「僕モ、変ワッタ。コレカラ、ドコ行ク?」
ナナホシは触覚の手入れをしながら聞いてきた。

「フランタ国の村人によると、この山に鉱山か武器製造所か残っているようだ。それを探すのはどうだろう」
「探ソウ」

12/27/2024, 8:55:18 AM