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病室

私の大好きな祖母が大病を患い、
隣の県の大きな病院に入院した。

私は毎週欠かさず通った。

最初は祖母に会えるのが単純に楽しみだった。
今日はおばーちゃんと何話そっかな?
なんて呑気に考えながら病室のドアをノックしていた。

でも、祖母は段々と弱っていった。
楽しかったはずのお見舞いが、辛くなって来た。
行く度に元気がなくなる祖母を見るのが怖い。
部屋に入ろうとすると心臓がドクドクする。

そして、祖母は緩和病棟という所に移った。
それはもう先が長くないことを示していると気づいた時から、死に対する恐怖が当時幼かった私を襲った。

とうとう祖母はベットから全く起き上がれなくなった。そんなある日、私は直感的に祖母と会えるのはこれが最後かもしれないと悟った。
だけど、だけど、その直感が受け入れられなくて、気づいてないふりをした。
そしていつものように
「また来週来るわーー」
とそっけなく言って病室を後にした。

来週は来なかった。
安らかに眠る祖母を見て涙が溢れた。
あの日、ちゃんと感謝の気持ち伝えれば良かった。
あの日、喉の奥まで出て来てた言葉を飲み込んでしまったことを今でも後悔している。

なので、ここに書かせてください。
「私、今年二十歳になるよ。振袖姿見せたかったな。
おばーちゃんありがとう。今でもずっと大好き。」




8/2/2024, 5:59:38 PM