チキン

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花火の大きな爆発音がここ一体に響いた。


屋台がたくさん並ぶ中で、

俺は君の手をひいて人混みを掻き分け進んでいく。

頬をつたう汗が地面におちた。


人混みを抜けた先にあったのは、小さい公園。

人の気配はまったくない。

やっぱり、抜けてきて正解だった。


繋いでいた手を離して君の目を見る。

大きく響く花火の音が、

俺の背中を押してくれるようで。

短く深呼吸をして、

ずっと片手に持っていたりんご飴の棒をにぎる。


「ずっと、好きでした!2年前から!」


花火に負けないくらいの声量で想いを伝える。

君は、一瞬きょとんとした顔を見せた。

が、すぐにクスッと笑う。


「あたしも好き。」

「えっ」


思わず素っ頓狂な声が出てしまった。

そんな俺を見て、君はクスクス笑っている。


あたしも、好き。

ゆっくり脳内再生される。


意味を理解した途端、

ブワッと俺の顔に熱があつまった。


「うーわ、なにこれ恥ず」


「ふふっ」


かなり恥ずかしいけど、幸せだ。


月光に照らされた2つの影がゆっくりと重なる。

あぁ、このまま時がとまればいいのに。



- 時間よ止まれ -






9/19/2024, 2:11:32 PM