名無しの夜

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好き、嫌い、好き——

花占いのように
あるいは振り子のように

行ったり来たりするだけで済めば
良かったのに


嫌い、に揺れるたび
少しずつ傷がついて

その傷のせいか
好きに傾く度合いも減って

それなのに
嫌いでつく傷は増える一方で

更には
亀裂になって、どんどん広がり


いつしか
音もなく崩れ落ちてしまった


残骸を見つめて

何もなくなってしまったなぁと

ぼんやり思って


好きだったことも
嫌いになったことも

すりガラスの
向こう側の出来事のように感じて


これは本当の本当に
失くしてしまったんだ

と、思い知る



きっと

傷ついて壊れきってしまうほど

好きだったのだ



だから、せめて

残骸の欠片をノートに貼り付けて

心の本棚にしまう


たまによぎる思い出を片隅に

何にもない荒野を歩いて行く


歩いていれば
また別の風景に変わる時も来るさと


根拠もなく、呟いて

6/13/2024, 2:02:10 AM