二次創作、BL注意、🌟🎈
ああ、この気持ちの昂りは恋だったんだ。気付きたくなかった。僕のこの感情は君に必要無い。この気持ちは墓場まで持っていくとしよう。そう、決めたはずなのに。
「好きだなあ」
ハッと口を押さえる。君の隣で、ふと溢れ出てしまった。君の顔が見れないよ。僕を拒絶しないで、なんて我儘聞いてもらえるだろうか。頭の中がぐるぐる回っている。こんな失態、初めてだ。彼は相変わらず口を開かない。今日はもう、帰ろう。振り返り、走り出したはずが手首を捕まれ動けない。
「類、オレ───」
「聞きたくない!」
「あれから何年も経ったな」
ふかふかのソファに腰掛け、君はアルバムを愛おしそうに見つめている。片手でアルバムをめくり、片手で僕の頭を優しく撫でる。
「あの時は、君に拒絶されるのが怖くてしかたがなかったんだ。
...でも、あの時君が僕を引き止めてくれて本当に良かった」
今でも鮮明に思い出す。いつもの大きな声で僕に愛を伝えてくれたことを。
『僕は君に恋愛感情を持っているんだ。隠そうと思っていたけど、もう一緒には、いられな』
『オレの話をちゃんと聞け!!!!
自分で勝手に終わらせるんじゃない!!!』
『司くん...』
『類、オレもお前が好きだ!!
どうアクションを起こそうか悩んでいたが、類も同じ気持ちだったとはな!』
にかっと星が舞うように微笑み、手を握られ僕の冷たい手がじわじわと温かくなっていくのを感じる。
ああ、何て都合のいい夢なんだろうか。司くんなら、この夢に永遠に浸らせてくれると信じて、僕は彼の手を握り返した。
『もう一度、言わせて欲しい。
司くん、大好きだよ』
あの時の僕、それは永遠に幸せな夢じゃなくて、ただただ幸せな現実なんだよ。
「司くん」
猫を撫でるように僕を愛でている彼の名を呼べば、その眩い程に綺麗な瞳が僕を見詰めてくれる。あの時の感謝を込めて、
「愛しているよ」
5/7/2023, 10:35:08 AM